先日、札幌市内にお住まいの個人のお客様が、黒い外付けハードディスクを一台お持ちになりました。東芝製の薄型のもので、表面には長く使い続けてこられたことが分かる細かな傷がいくつか残っていました。

中に保存されているのは、これまで撮りためてきた写真とのことでした。何が写っているのかまでは伺っていませんが、お話しされる声の調子から、ご本人にとってどれほど大切なものかは十分に伝わってきました。

写真の代わりにパソコンが返した「ファイルまたはディレクトリが壊れています」の一文

外付けHDD「ディレクトリ破損」表示から写真データ復旧|PCデータ復旧堂

これまでと同じようにパソコンへつないだところ、いつものようにフォルダが開かず、代わりに小さなウィンドウが表示されるようになったのだそうです。そこに書かれていたのは、「G:¥ にアクセスできません。ファイルまたはディレクトリが壊れているため、読み取ることができません。」という一文でした。

ドライブの文字(G:)そのものは画面に出ているため、パソコン側はハードディスクの存在自体は認識しています。それなのに中身へ進めないという状態で、多くの方はこの段階で手が止まってしまわれます。

この表示が出ると、つい何度も抜き差しをしたり、電源を入れ直したりしてしまいがちですが、当社でこうした状態のドライブを見てきた経験からすると、その繰り返しが状態をさらに悪くしてしまうことは決して珍しくありません。今回のお客様は、数回試しても開かないと分かった時点で操作をやめ、そのまま当社へお持ち込みくださいました。

検査の結果は不良セクタの発生、それでも最悪の事態は免れた

お預かりして検査を進めたところ、ディスク表面の傷や読み取りエラーを示す異常(不良セクタ)が発生していることが確認できました。この不良セクタが広い範囲に及んでいる場合、読み出せる情報そのものが虫食いのように欠けていき、写真であれば開けないファイルが大量に出てくることになります。

ただ、今回のハードディスクは不良セクタの数がごくわずかで、ディスク全体へ広がっている状態ではありませんでした。あわせて、内部で情報を読み取る磁気ヘッドも問題なく動作しており、開封しなくても読み取りを続けられる状態だと判断できました。

磁気ヘッドは、回転するディスクの上を動きながら情報を読み取る部品で、ここが停止したり損傷したりしていると、微粒子を管理したクリーンルーム内で開封し、部品を一時的に交換するという、まったく別の作業に切り替わります。今回はその段階には至っておらず、写真を取り戻すうえで最も避けたい事態は免れていました。

分解せずとも外側からデータにアクセスして復旧作業

当社では、正式な復旧作業のご依頼をいただく前の検査段階で、ハードディスクを開封しない方針を取っています。一度開封済みの状態になると、他社での二次的な対応が必要になった場合に料金面で不利になることがあるため、大切なデータが入った媒体を安易に開けないようにしています。開封せずに症状や検査結果から状態を判断できるのは、当社が長年の作業を通じて培ってきた技術によるものです。

今回は分解をおこなわず、外側から専用の復旧プログラムでアクセスし、情報を読み出していく方法を選びました。専門の復旧プログラムは、元の情報を改変せずに取り出す技術を用いる点が、市販の復旧ソフトとの決定的な違いになります。

市販の復旧ソフトの中には、読み取りと同時にドライブ内へ書き込みをおこないながら作業を進める仕組みのものが非常に多く、弱った状態のドライブに繰り返しアクセスすることで、媒体そのものをさらに傷めてしまうことがあります。今回のように不良セクタが出ている媒体では、この差がそのまま結果の差になります。

不良セクタのある部分は読み取りに時間がかかり、無理に何度も読みにいけばその周辺まで状態を悪くしかねないため、読み出せる場所から順に確保しつつ、負担の大きい箇所は後回しにする形で作業を進めました。読み出したデータは、開けない状態にある元のハードディスクへ戻すことはできませんので、別の媒体へ保存していきます。

一枚ずつ画面に戻ってきた写真に、しばらく目を留めたお客様

作業を終えて、写真データはほとんど欠けることなく取り出すことができました。ごく一部に読み出せない箇所は残りましたが、不良セクタの数が少ない段階でお持ち込みいただけたことが、この結果につながっています。

お引き取りにお越しいただいた際、画面に並んだ写真を一枚ずつご確認いただきました。フォルダを開いてサムネイルが表示された瞬間、お客様はしばらく黙ったまま、画面に並んだ一枚一枚へ目を留めておられました。

外付けハードディスクは、写真をまとめて預けておく場所として選ばれることが多い一方で、その一台だけに保存されている状態になりやすい機器でもあります。今回のように、開かなくなった時点で操作を止めて相談いただければ、残せるものはまだ十分に残っています。

万が一、同じような状況になった場合は、ハードディスクへの通電を何度も繰り返さないようにしていただき、お持ち込みご予約ページまたは郵送・宅配便データ復旧ページからお申し込みください。また、検査のお申込前に不明な点があれば、なんでも相談室からご相談ください。作業前の料金復旧の流れについても、あらかじめご確認いただけます。

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