撮影用ではなく増えているパソコンデータの保存先としてのmicroSD

カメラマンをされているお客様から、当社にご相談をいただき、パソコンで作成した見積書や請求書といった書類データを、カードリーダーを介してmicroSDへ保存し、日常的に持ち運んでいたとのことでした。
microSDはデジタルカメラやスマートフォンの記録先として使われることの多いメディアですが、昨今は業種を問わず、パソコンで作ったデータの保存先として選ばれるケースが増えてきています。理由としては、USBメモリよりもコンパクトで持ち運びやすいことに加え、数百GBクラスの大容量モデルが以前より手に入りやすくなったことが大きいのだと思います。
512GBのmicroSDに現れたフォーマット要求の表示

いつものようにパソコンへカードリーダーごと差し込むと、「ドライブG:を使うにはフォーマットする必要があります」という表示が出た、とのことでした。使われていたのはSanDiskの512GBのmicroSDで、中身を確認しようとしただけなのに、いきなりフォーマットを迫られる画面が出てきたため、驚いてそのまま操作を止め、当社へご相談をいただきました。
この画面が出たときに、そのままフォーマットを実行してしまう方はそれほど多くありません。フォーマットという言葉に対して、中身が消えるという感覚を持っている方がほとんどだからです。
ただ、実際にフォーマットを実行してしまうと、本来であれば復旧できるはずのデータまで復旧できなくなる可能性が出てきます。同じように、市販のデータ復旧ソフトを自己流で試してしまうケースも見受けられますが、こうしたソフトの多くは元の情報を読み取りながら同時に書き込みをおこなう仕組みになっており、弱った媒体に対して繰り返しアクセスすることで、取り出せる情報がかえって減ってしまうことがあります。
今回のお客様は表示が出た時点で操作をやめてご相談くださったため、そのままの状態で検査に進むことができました。
検査で分かったのは管理情報の破損だった
お預かりしたmicroSDを検査したところ、ドライブとしてはG:と正しく認識されているにもかかわらず、どこに何のファイルが保存されているかを示す管理情報が読み出せなくなっている状態であることが分かりました。本のページ自体は残っているのに、どこに何が書かれているかを示す部分だけが失われている状態、と言えば近いかもしれません。
フォーマットを求める表示が出ると、書き込みや管理情報まわりのデータ障害だと決めつけてしまう業者も一部にはあるようですが、当社の経験からすると、この表示はメモリチップの一部が壊れていたり、内部のコントローラーに不具合が生じていたりする物理的な要因でも同じように出てきます。表示の内容だけを見て原因を判断できるものではありません。
今回のケースでは検査の内容とお見積りをご説明し、正式に復旧作業のご依頼をいただいたうえで、専門の復旧プログラムを用いて作業に入りました。専門の復旧プログラムは、元の情報を書き換えずに取り出せる点が、市販のソフトとの大きな違いになります。
データそのものにも一部で影響が及んでいたため、すべてを元通りにお戻しすることはできませんでしたが、お客様の体感で9割ほどのデータをお戻しすることができました。
見積書や請求書といった書類は、失われると業務そのものが止まってしまう類のデータでもあり、お戻しした際には安心された様子でお話をされていました。
剥き出しの基盤が抱えるmicroSDならではの脆さ
今回のような管理情報の破損だけでなく、microSDというメディアそのものが持つ構造的な特徴についても触れておきたいと思います。USBメモリは接続端子が金属のカバーで覆われている製品がほとんどですが、microSDは基盤やチップが薄い樹脂に収められただけの構造になっており、外部からの影響に対して保護されている部分が少ない、という製品の実態があります。
当社で見てきた経験からすると、microSDが読めなくなる原因として多いのは、静電気や一瞬の過電圧が加わったことによる内部基盤の部品の故障です。抜き差しの際に手から静電気が流れたり、機器側の電源まわりで不安定な電気が流れたりすることで、小さな部品が影響を受けてしまいます。
こうした電気の影響については、部品を詰め込んだ小さな基板を持つ製品ほど、静電気を逃がすための余地が構造的に限られるという事情があり、爪ほどの大きさしかないmicroSDは、まさにその制約を強く受ける側の製品だと言えます。
だからこそ、日ごろから使わないときは専用のケースに収めておく、抜き差しの回数をむやみに増やさない、といった扱い方が、結果として媒体を長く保たせることにつながります。
万が一、同じような状況になった場合は、microSDへの通電を何度も繰り返さないようにしていただき、お持ち込みご予約ページまたは郵送・宅配便データ復旧ページからお申し込みください。また、検査のお申込前に不明な点があれば、なんでも相談室からご相談ください。
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