
ある日届いた、コネクタの折れたUSBメモリ
先日、札幌市内で小さな会社を経営されている方から、お問い合わせをいただきました。お話を伺うと、会社の取引先や顧客の情報をまとめて保存していたUSBメモリが、ある日突然パソコンに認識されなくなってしまったとのことでした。
よく見てみると、USBメモリの差し込み口の部分が折れ曲がってしまっていて、金属の端子もぐらぐらと動いてしまう状態だったそうです。何かの拍子にパソコンに挿したまま強い力がかかってしまい、そのまま折れてしまったのではないか、ということでした。
中に入っているデータは、長年やり取りされてきたお客様の連絡先や取引の記録など、すぐに代わりが用意できるものではありませんでした。お電話の向こうから、どうにかして中身だけでも取り出せないだろうか、という切実な気持ちが伝わってきました。
札幌市内3社で「データ復旧は難しい」と言われて
このお客様は、当店にお問い合わせをいただく前に、すでに札幌市内のデータ復旧を扱っている会社を3社ほど回っていらっしゃいました。どの会社でもUSBメモリを見せたところ、コネクタの破損が大きく、これ以上の作業は難しいという判断だったそうです。
お話を伺った限りでは、どの会社の判断が間違っていたというわけではないと思います。差し込み口が折れてしまっているUSBメモリは、見た目以上に手をつけづらいものです。中の基板まで力が伝わってしまっている可能性もありますし、無理に動かせば、さらに状態を悪くしてしまうことも考えられます。
3社からそれぞれ復旧は難しいと伝えられたお客様は、もうデータは諦めるしかないのかもしれない、と半ば気持ちを切り替えかけていたそうです。それでも念のため、当店にも一度見てもらえないかというお気持ちでご連絡をくださいました。
ダメ元でうちに持ち込まれたときの様子
実際にお持ち込みいただいたUSBメモリを確認すると、差し込み口の金属部分が基板から大きくずれてしまっていて、よく見ると、一度どなたかの手でハンダ付けをし直したような跡も残っていました。おそらく折れた直後に、何とかパソコンに挿せる状態に戻そうと、応急処置を試みられたのではないかと思います。
その応急処置のおかげで、一時的にはパソコンに挿せるようになっていたのかもしれません。ただ、内部の配線まで完全に元通りになっていたわけではなく、データのやり取りに必要な信号が正しく伝わらない状態になっていました。基板の表面を見る限り、部品そのものに大きな破損は見当たらず、データが保存されているチップ自体は無事そうだという印象を受けました。
このあたりの判断は、実際に基板を手に取って、どの部分が壊れていて、どの部分が生きているのかを見極めながら進めていく作業になります。お客様にはすぐに結果をお約束することはできませんが、一度お預かりして詳しく確認させていただきたい旨をお伝えしました。
メモリチップを取り出して、データを読み出す
確認を進めていくと、やはり壊れていたのは差し込み口とその周辺の配線部分で、データそのものが保存されているメモリのチップには問題がなさそうだということが分かってきました。そこで当店では、USBメモリの基板からこのメモリチップだけを慎重に取り外し、専用の機器に直接つないでデータを読み出す方法を取ることにしました。
この方法は、USBメモリ全体を元通りに動かせるようにするのではなく、データが入っている部分だけを直接取り出すイメージに近いものです。差し込み口や配線が壊れてしまっていても、肝心のデータを保管しているチップさえ無事であれば、このような形でデータを取り出せる場合があります。
作業中は、チップに負担をかけすぎないよう、温度や力加減に気を配りながら少しずつ進めていきました。長年の取引記録など、お客様にとって大切なデータが詰まっている以上、こちらも気の抜けない時間が続きましたが、最終的には無事にデータを読み出すことができました。
結果と、お客様の反応。そして他社との違い
取り出したデータを確認したところ、保存されていた取引先の連絡先や記録など、お客様が必要とされていた情報をすべて取り出すことができました。このことをお伝えすると、お客様は何度も「3社で断られていたのに、まさか戻ってくるとは思わなかった」とおっしゃってくださいました。
今回のケースを振り返ってみると、他社で復旧が難しいと判断されたこと自体は、決して間違いではなかったのだと思います。差し込み口が折れてしまっているUSBメモリをそのまま動かそうとすれば、状態をさらに悪化させてしまう可能性もあるからです。当店では、壊れている部分とデータが保存されている部分を切り分けて考え、必要な部分だけを取り出すという方法を選んだことが、今回は良い結果につながったのだと感じています。
USBメモリは小さく持ち運びやすい分、コネクタの部分に負担がかかりやすく、今回のような破損は決して珍しいものではありません。もし同じように差し込み口が折れてしまったUSBメモリやSDカードをお持ちでしたら、諦めてしまう前に、一度状態を見せていただけたらと思います。当店で復旧の対象としている機器については、復旧可能機器のページでもご案内しております。データの持ち込みをご検討の際は、持ち込み案内のページもあわせてご覧いただけたらと思います。
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